2016年6月25日

水環境に関する研究 – JST CREST受託研究「モデルベースによる水循環系スマート水質モニタリング網構築技術の開発」

フィールド向け頑健計器と作物循環系流体回路モデルによる形質変化推定技術に関する研究

 

研究の全体像

図1図1 研究の全体像

研究メンバー
  • 東京大学 三宅グループ(代表)
  • 広島大学 横山グループ
  • 豊橋技術科学大学 村上グループ
  • 日立製作所グループ
研究概要

安心・安全な水や、おいしい水など、水に対するニーズは地域・国によって様々です。そのニーズに応え、無駄のない水利用環境を実現するためには、地域ごとの水圏、上下水など水循環系全般にわたり、水質をきめ細かく管理するための地域固有のモニタリング網の構築が望まれます。要となるのは、地域ニーズに即した水質情報を継続的に捉えるためのオーダーメードの水質計です。ただし現状では、地域ごとにオーダーメードの水質計を開発・提供することはコストの面で容易ではありません。そこで我々の研究グループでは、モデルベースによる設計開発手法を水質計の設計・開発環境に適用しました。まず水質計の仮想モデルを作成し、試作する前にコンピュータ上で、ある程度の性能検証を行います。次に検証の終わった仮想モデルの設計情報を基に、積層造形技術(3D プリンタ)等を用いて、水質計試作機を一気に製作します。本開発環境を利用して実際に残留塩素、硝酸態窒素、クロラミン、細菌数、リン酸等を対象とした多種類の水質計を試作し、従来、月単位で必要であった設計から試作までの期間を数日程度まで大幅に短縮可能であることを実証しました。また、複数台の超小型水質計を相互に離れた場所に設置して、有線ネットワークと無線を組み合わせた遠隔監視システムを構築、遠隔での水質情報の取得を試み、無人・無線で計測する上での諸課題の摘出と解決策の提案・検証を実施しました。

研究成果
  1. 地域ニーズに即したオーダーメードの水質計システム
    図2図2 図3図3
    仮想モデルとの連動により、設置場所を選ばない、手のひらサイズの超小型水質計を実現しました。また、ユニットモジュラー方式により、多様なニーズに対応したオーダーメードの水質計システムを迅速に提供します。
  2. 様々な前処理に対応して柔軟に組み換え可能な前処理ユニット
    図4図4 図5図5
    懸濁微粒子を取り除くフィルタユニットから、対象成分を濃縮するための濃縮ユニットまで、多様な前処理を可能とするユニット群を開発しました。

  3. 試薬を交換するだけで多項目の計測が可能な水質計ユニット
    図6図6 図7図7
    屋内のラボに設置されている試薬反応式の卓上化学分析装置を、マイクロ化技術や LED を用いた簡易多波長測光法で小型・集積化し、手のひらサイズのスペースがあれば取り付け可能な超小型水質計ユニットを開発しました。

  4. 滴下不要の滴定デバイスと培養不要の微生物カウンタを実現する水質計ユニット
    図8図8 図9図9
    面倒な滴下操作や培養操作が不要な超小型滴定装置や微生物カウンタを実現するために、濃度勾配形成部と電気化学センサを集積化したマイクロ滴定デバイス や、微生物染色反応部とシースフローセルを集積化したマイクロフローサイトメトリチップを開発、それらを内蔵した手のひらサイズの水質計ユニットを試作し ました。
  5. 遠隔での水質モニタリング技術
    図10図10 図11図11
    超小型水質計を現場に設置して、インターネットと無線を経由して遠隔で動作させることに成功しました。また、水質浄化用フィルタの汚れを遠隔監視するために、伝送と検出を同時に兼ねる簡便・安価な光ファイバーをベースとした光学センサを開発しました。

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